スポーツ心臓と心拍数の関係

スポーツ心臓とは?安静時心拍数が低いのは不整脈が原因?スポーツ心臓と徐脈性不整脈の違いの解説。

★スポーツ心臓と心拍数の関係(もくじ)

◆スポーツ心臓とは?安静時心拍数が基準を大きく下回るケース

 スポーツ心臓という言葉を耳にしたことがあるアスリートは多いのではないだろうか?

 スポーツ心臓とは、安静時心拍数が一般的な基準範囲よりも大きく下回る心拍数を示すような心臓のことを指している。

 一分間の数値で言えば成人の平均的な数値である60回〜70回の範囲を下回るようなケースである。

 水泳の長距離選手などの場合は「安静時心拍数」の数値が45回を下まわってくるような選手も実は意外に多い。

 ではこのスポーツ心臓になると実際の競技の中でどのような影響が出てくるのかについて考えてみよう。

◆普通は安静時心拍数が50を下回るような場合徐脈性不整脈の可能性が検討される

 スポーツ心臓は明確な定義として世界的な基準はないものの一般的な見解では1分間の安静時心拍数が40回〜50回程度の拍動を示す場合に「スポーツ心臓」であると診断される。

 普通は安静時心拍数が50を下回るような場合、「徐脈性不整脈」の可能性が検討されることになる。

 徐脈は心臓の拍動が少ない状態、脈拍が基準値を下回る状態を指す。

 しかしことスポーツ選手の場合は安静時心拍数が低い場合であっても徐脈と判断する前に、その数値は鍛えられた心臓であるスポーツ心臓である可能性が検討されることになる。

 ここでスポーツ心臓が実践中のスポーツ競技にどのような影響を与えるのかについて考える前に、まず心臓の拍動のメカニズムについて確認しておく必要がある。

 この心臓の拍動の仕組みは心臓の大きな役割のひとつであるポンプ作用が大きく関与している。

◆アスリートの心臓は日々のトレーニングによって筋肥大を起こす

 スポーツアスリートであれば自分の脈拍数のチェックを行ったことがある選手も多いだろう。
 脈拍の測定は手首の内側、ちょうど手のひらと腕が曲がる部分の中央近辺を指で撫でていくと2つの血管を見つけることができる。
 また顎のやや下方のどぼとけの斜め上にあたる部分にある頚動脈も測定しやすいポイントだ。

 このように血管で心拍数を測定できるのは体循環と呼ばれる血液の循環システムがある為。
 心臓はこの体循環システムのポンプ作用の働きをもっており心臓から全身へ大量の血液を送り込んでいる。

 この際、心臓は血液を大動脈へ送り出すと小さくなり収縮し、収縮した血液は肺を通じて酸素をたっぷりと溜め込んできた血液が大静脈から送り込まれ拡張する。

 スポーツ心臓をもつアスリートはこの心臓の筋肉が日々のトレーニングによって筋肥大を起こすことが確認されており一度の収縮作用で送り出される血液量は大きくなる。

 これはスポーツ心臓の場合、心臓のポンプ作用によって働く能力が高くなることを示している。

◆血液を大量に受ける際の拡張期の大きさで心拍数の長さがある程度決定する

 心臓の収縮のメカニズムでは、血液を大量に受ける際の拡張期の大きさで心拍数の長さがある程度決定する。
 しっかりと血液を取り込み十分な拡張がなされた心臓は1回で全身へ送り込む血液量も比例して大きくなる。

 このように、十分に拡張できる心臓であることがスポーツ心臓のひとつの条件となっている。

 長距離陸上種目のマラソン選手やボクサーが並外れた持久力を保持している原因もこの一度に全身へ送り込むことが可能な血流量が圧倒的に多いことが原因にある。

 彼らは日々のトレーニングによって心拍数に大きな影響を与える心筋が鍛えられた結果、スポーツ心臓と呼ばれる酸素供給能力の高い心臓を保持しているという訳である。

 尚、長期的な視野で心拍数の長さを確認する場合はセンサーが内蔵している心拍計などを利用しランニング中の心拍数を記録していくと心拍数の変化を確認することが可能となる。

 個人的にはポラールの心拍計を10年以上(現在2台目)愛用しているが、無機質なジョギングをデータ化していく事でモチベーションを保つきっかけともなっている。

  スポーツ用の心拍計は目標心拍数の設定機能と推定消費カロリー表示機能、そして過去の記録をデータファイル化できる機能があると便利である。携帯電話やスマートフォンのようにあまり多機能すぎても実際に使用する機能は限られているため必要な機能さえあれば良い。尚、ジョギング中の突然の雨を想定し防水・耐水は最低限欲しい機能と言える。

 実際に記録をつけていく中でひとつの特徴が見えたのは、運動時の心拍数は1〜2ヶ月程度で平均的に低下してくるが安静時心拍数は半年程度で徐々に変化が見られる点である。

 これは自分に限る話ではなく軽いジョギングなどでもスポーツクラブに入りたての運動不足気味の方がジョギングを始めると心拍数が急激に上昇するが、早い人では数週間で一気に上昇の幅がゆるやかになり安定してくるケースも多かった。

 トレーニング理論という観点では、これほど短期間の間に目に見える心肺機能の向上が達成されるような事はないのだが、これらの反応は筋力トレーニングを始めたばかりの時は挙上可能となるウエイトが一気に上がる運動への慣れに近い傾向と言えるかもしれない。

 安静時心拍数に関しては、持病や高血圧なども関与してくるため個人差は大きいが平均的に安定してくるまでには時間がかかる。

 それでもやはり半年程度に渡り運動を続けることができた方は明らかな変化が見られるようになってくる。

 まさに継続は力なりという事だろう。

 尚、心臓の拡張のタイミングや時間の長さは脈拍数に関連するが「頻拍性不整脈」「徐脈性不整脈」、そして「スポーツ心臓による徐脈」はそれぞれ原因が異なるため、持病などがある場合は原因を正しく見極めることが大切となってくる。

 スポーツ心臓の場合は一度の拍動の際の血流量が大きくなり心臓自体もしっかりと拡張するため脈拍数は低下し徐脈を示すことになることをここではしっかり覚えておこう。

◆スポーツ心臓の利点とは?酸素供給量増加の可能性

 スポーツ心臓の利点をスポーツ競技として考える場合は大きく拡張できる心臓の能力が大きなポイントとなる。

 心臓疾患の中でも頻拍性不整脈疾患のの場合はひとつの特徴として心臓の拡張が十分になされない状態で収縮が行われるという特徴がある。

 要は、本来もっと多くの血流量を取り込める心臓が十分な血流量を溜め込む前にポンプが収縮してしまうということ。

 逆に徐脈性疾患の場合は、心臓の収縮にかかわるペースメーカーの役割を果たす電気信号システムに異常をきたすことで縮小期〜拡張期のスパンが長くなっている。

 同様にスポーツ心臓の場合も、拡張期が大きくなるが病気ではなくこれはスポーツ心臓という心臓の筋肥大が要因となって徐脈を示していることを理解しておく必要がある。

 スポーツ心臓の最大の利点は1回に取り込める血液量が増加すること。

 これは拍出量の増加につながり一度の呼吸動作で細胞に送り込める酸素の供給量が大きくなる可能性をもつことを意味する。

 尚、スポーツ心臓をもつアスリートの特徴としては運動開始後の血圧上昇が顕著に現れる傾向もある点をチェックしておこう。