スポーツドリンクなどのCMを見ていると、「アイソトニック飲料」などと記載されている文字を見かけることがあるかもしれない。
またスポーツアスリートであれば一度はこのアイソトニック飲料と言う言葉を耳にしたこともあるはずである。
更にスポーツドリンクの成分表を細かくチェックしてみたことがある方の場合は、「ハイポトニック飲料」という記載を見かけたことがある方もいるだろう。
これらのスポーツドリンクがどのような目的で作られ、我々の人体にどのように働きかけるのかについてチェックしてみよう。
「アイソトニック飲料とはいったい何者なのだろうか?」
このアイソトニック飲料のアイソトニックとは日本語に訳すと「等張性」という意味を持つ。
この等張性とは等しいという意味をもつ。
トレーニングの世界では、「等尺性」「等張性」という言葉が多く使用されるため、イメージが沸く方は多いはずだ。
スポーツドリンクにおけるアイソトニック、すなわち等張性とは、ヒトの安静時の体液に含まれる「糖分の浸透圧」と対象となるアイソトニック飲料であるスポーツドリンクの糖分の浸透圧が同じ。
という意味となる。
スポーツドリンクに含まれる糖分の浸透圧と、安静時の血液中に含まれる糖分の浸透圧が同じ、もしくは同程度の状態であること。
この浸透圧が近いことによる最大のメリットは、人体組織、細胞、血液への吸収速度が通常の水よりも高まる点にある。
要は浸透圧は体内への吸収スピード、吸収率に影響を与える要素を持っていると言うことになる。
※糖分の浸透圧は水分補給のスピードに影響を与える
特にスポーツアスリートの場合は急速に短時間で大量の水分を失うことから、できる限り短時間で水分の補給を行えることが理想となる。
このような状況を踏まえて、吸収力の高い浸透圧を意識し、かつ失われたミネラルも同時に補給が可能となる様々なスポーツドリンクが開発されてきたのである。
「スポーツドリンクは何となく甘くておいしい!」
と感じるかもしれないが、これは糖分が含まれているため。
アイソトニック飲料の代表と言えばコカコーラ社のアクエリアス、そして大塚製薬のポカリスエットなどが非常に有名。
尚、水分の補給が迅速に達成されると疲労の回復も早まる。
その為、アイソトニック飲料は「オン期」の激しい試合などを終了後、早い段階で使用していきたいもの。
尚、練習中にこれらのアイソトニック飲料を使用する場合は、2~3倍に薄めてあげることが重要である。
これは運動中には浸透圧が一定レベルまで低下する為、濃い濃度のスポーツ飲料は逆に身体に負担をかけることになりかねない為だ。
ハイポトニック飲料とは、運動時の糖分の浸透圧に近い状態に糖分が調整されたスポーツドリンクのこと。
一般的にスポーツアスリートの競技実践中の浸透圧は2.0~3.0%程度まで糖分の浸透圧が低下する。
その為、この低下している状態である競技実践中にすばやい水分の補給を達成することを目的として作られたスポーツドリンクなどがハイポトニック飲料にあたる。
「スポーツドリンクは薄めたほうが良い」
このような言葉を耳にしたことがある場合は、この運動中の浸透圧の低下現象を踏まえての話なのだ。
スポーツドリンクの代表とも言えるアクエリアスやポカリスエットは、「アクエリアスクリアレモン」「ポカリスエットステビア」などの製品がハイポトニック飲料製品に当たる。
飲んでみるとわかるが味はやや薄く、水に軽く味をつけたような触感がある。
これらの製品は浸透圧の調整がコントロールされた他、運動中に消費されるミネラル分などの補給も同時に達成されるので有効に活用したい。