ATP-アデノシン三リン酸の働き・役割

アデノシン三リン酸の役割・ATP産生・分解のメカニズムの解説。

★ATPアデノシン三リン酸の働き・役割(もくじ)

◆アデノシン三リン酸の役割とは?

 スポーツアスリートが学習を重ねていく仮定でおそらく誰もが一度は耳にする言葉のひとつがこの「アデノシン三リン酸」という成分。

 アデノシン三リン酸という成分の役割と働きについて把握しておくと色々な事が見えてくるようになるのでここでチェックしておこう。

 運動を行う為には、筋肉の収縮・伸展という筋肉の活動が不可欠である。

 この筋肉は筋繊維で構成されており、筋繊維は筋細胞で構成されている。

 この筋細胞が活動する為には大量の酸素と、エネルギー源となる成分が必要。

 ここで必要不可欠となる成分であるアデノシン三リン酸が登場する。

 まず最初に覚えるべきポイントは、アデノシン三リン酸という成分は、筋肉の収縮活動・伸展活動においてエネルギーを供給する成分であると言う点。

※Point!アデノシン三リン酸は筋肉が活動する為のエネルギー源

◆ブドウ糖⇒ATP産生のメカニズム

 アデノシン三リン酸が筋肉の細胞が働く際のエネルギー源となることは理解した。

 では、人体はいったいどのようにしてアデノシン三リン酸を体内に作り出しているのだろうか?

 次は人体がATPを産生し細胞のエネルギー源を確保するメカニズムを確認してみよう。

 我々「ヒト」は酸素がないと生命を維持することができない。

 太陽系の中で地球だけに生物が確認されているのは、生物が生存していく為の必須条件である酸素が確保されていることが最大の要因のひとつでもある。

 この酸素はアデノシン三リン酸を生み出す過程においても不可欠で酸素の働きがあってはじめてアデノシン三リン酸が生成される。

 ATP(アデノシン三リン酸)の生成の過程では、人体のエネルギー源である「ブドウ糖」を酸素で解糖することでATPが生み出される。

 ブドウ糖が酸素によって解糖されることを「酸化」と呼ぶ。

 また、この酸化作用によってアデノシン三リン酸などのエネルギーを生み出す事を「代謝」と呼ぶ。

 少し聞き覚えのある言葉が出てきたと思うが、ATPは主にブドウ糖の酸化によって生み出される代謝産物であると覚えておこう。

※Point!ATPはブドウ糖の酸化によって産生される

◆筋細胞がATPを分解する仕組み

 アデノシン三リン酸のこの3という数字はいったい何をあらわしているのか?

 そんな疑問をもつ方もいるだろう。

 アデノシン三リン酸の3という数字はその名の通り3つのリン酸(リン酸基)が存在することを意味する。

 ATPの構造式の図のように「アデノシン」という物質に3つのリン酸(P)がくっついているものがアデノシン三リン酸ということになる。

ATPの構造式の図

 筋肉の運動を行う際は、このリン酸基がひとつ外れエネルギーを生み出している。

 ATPの構造式の図の⇒の部分がそのエネルギーが生み出された瞬間を意味する。

 その為、運動を行いリン酸がひとつ分岐した直後はこのアデノシン二リン酸という形で細胞内に存在することになる。(アデノシン+リン酸+リン酸)

 リン酸が外れる際にエネルギーを生み出す為、アデノシン二リン酸もまたエネルギーを生み出すことが可能。

 最後の2つめのリン酸が外れエネルギーを使用した場合は、もう分岐するリン酸がないので原理的にはもう筋細胞が活動することはできなくなる。

 実際は、筋肉を動かすことが出来ない状態は人体にとっては危険である為、リン酸がすぐに回復できるように人体は「予備機構」を保持している。

 尚、アデノシン三リン酸をすぐに回復する為に最も重要な働きをするのがトレーニング業界で話題となったクレアチンである。

※Point!リン酸がひとつ外れるごとにエネルギーが発生する